クライアントのいない別荘

外皮に覆われたひとつながりの大きな空間と
その合間に点在する小さな空間
言葉と行間のような関係をつくれないかと考えた
そんな、別荘案
小さな空間には、キッチン、トイレ、浴室、寝室といった機能スペースを
残りの空間には、暮らしの余白と思考のキャンバスを
ひとつのエッセイのように編んでみた
ボリュームの間を縫うように、この行き止まりのない空間を逍遥する日々
時折、余白をアートで彩りながら、この場に流れる時間を楽しんでもらいたい
そんなことを思いながら考えた
クライアントのいない、習作
これは、2015年のぼくが考えたもの
2025年の今も
相変わらず、用途のない、余白に寄り添い考えている
そんな自分を振り返り、
「変わってないな」
と、苦笑しつつも
「でも、変わったな」
と、口元がゆるんだ
思えば、
いろんな余白をつくってきたもんだ